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東京パラ8位入賞の66歳レジェンド、狙うはサブフォー

2025-04-19T14:49:18+09:00

■視覚障がい者の部女子 西島美保子(福井楽障クラブ)

 2021年の東京パラリンピックに日本選手最年長の66歳で出場し、3時間29分12秒で8位入賞を果たした。長野マラソン出場は04年以来21年ぶり。視覚障がい者マラソンの「レジェンド」と呼ばれる西島美保子(福井楽障クラブ)が、60代最後のマラソンに挑む。「もうすぐ70歳だから、年々体力が落ちるのは分かっている。でも4時間は切りたい」と意欲を示す。

 生まれつきの弱視。走り始めたのは44歳の時だ。2人目の子どもが中学生になり、「40歳を過ぎて人生の折り返し点に来た。一回だけの人生だから自分の好きなことを見つけたい」と思った。

 ランニングをしていた夫と一緒に走り始めた。少しずつ距離を伸ばし、タイムも向上。やがてマラソン大会に出場するようになり、大阪国際女子マラソンの出場資格記録3時間15分以内(当時)をクリア。03年に初めて同大会を走った。

 日本代表選考会に指定される「エリート」の同大会は当初、伴走者が付くことが「助力」とみなされ、認められなかった。走力がほぼ同じ知人の隣を走り、途中のタイムを聞いたり給水を取ってもらったりした。

 初めての大阪国際女子で出した3時間11分33秒は今も自己最高。3度目の出場から伴走者の参加が認められ、同大会には13年連続出場した。

 パラリンピックの女子マラソンに、視覚障がいの部が加わったのが16年リオデジャネイロ大会。代表に選ばれた西島は34キロ付近で熱中症になり、途中棄権した。「頑張って練習してきたのに悔しい結果になった。このままでは終われない」と東京での雪辱を狙った。

 5年後の東京大会は37キロ付近から脚がけいれんし、途中で立ち止まりながらも完走。「何のために今まで練習してきたんだという気持ちがあった。リオで踏めなかったゴールを踏むことができた」と感無量だった。

 その後はトラックの大会が中心になり、マラソンから離れていた。昨年3月、地元の福井市で第1回のふくい桜マラソンが開催され、「ずっと支えてもらってきた伴走者の方と一緒に走りたい」と出場。約3年ぶりのマラソンを3時間39分30秒で走った。

 長野マラソン出場は、長野県の視覚障がい者団体から誘われて決めた。初めてペアを組む伴走者の水上竜成さん(43)=福井県越前市=は「安全を第一に、目標タイムが出せるようにペースを維持してあげたい」と話す。

 マラソンは今後も年1回のペースで走りたいという。「走ることによって多くの出会いがあり、それが人生の財産になっている。生涯現役で、80歳になっても走っていたい」と元気いっぱいだ。

(信濃毎日新聞)

長野マラソンに向け福井市内の九頭竜川河川敷を伴走者と走る西島美保子