2025.04.19
懸けて駆け抜ける42.195㌔ 1万人分のドラマ20日号砲

■男子MGC獲得条件は『日本人1位で2時間9分0秒以内』
第27回長野マラソン(日本オリンピック委員会、日本陸連、長野県、長野市、信濃毎日新聞社主催、NHK共催)は20日、長野市吉田の長野運動公園をスタートし、同市篠ノ井の長野オリンピックスタジアムにゴールする42・195キロで行われる。1万人余がエントリーし、春の信濃路を駆け抜ける。
2028年ロサンゼルス五輪日本代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(27年秋開催予定)の出場権を懸けた男子の対象レースは長野が初戦。日本人1位で2時間9分0秒以内の成績を出すと、MGC出場権が得られる。23年10月のMGCを経験した招待選手らが高いハードルに挑戦する。
市民ランナーはそれぞれの目標に向かって走る。長野市内の長野冬季五輪施設を巡るコースを初めて走る同五輪出場選手、視覚障がい者の部にはパラリンピックで入賞したベテラン選手が参加する。スタートは午前8時30分。
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■昨年はスロー展開、今年はペースメーカーが支援
ペースメーカーが不在だった前回は序盤からスロー展開となり、6人で形成した先頭集団が35キロを1時間53分29秒で通過した。その直後に仕掛けたのが矢野圭吾(Kao・佐久長聖高―日体大出)。40キロまでの5キロを15分34秒に上げて後続を引き離し、2時間15分53秒でゴールした。
矢野は3度目のマラソンで初優勝。稲毛悠太(プレス工業)が2時間17分4秒で2位、真砂春希(愛知製鋼)が2時間17分20秒で3位に続いた。スローペースが響き、男子の優勝記録は過去最も遅かった。女子は唯一の招待選手だった川内理江(大塚製薬)が独走し、2時間33分16秒で制した。
新型コロナウイルスが5類に移行し、コロナ禍前の大会運営に戻った昨年は8925人(男子7725人、女子1200人)が出走し、85・47%の7628人が完走。応援の規制がなくなり、沿道からの声援がランナーの力走を後押しした。
今大会に招待出場する男子2人は、ともに2023年10月に東京で開催されたパリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場した実力者だ。
西研人(大阪ガス)は優勝した一昨年の大会で、長野マラソン日本選手最高の2時間10分1秒をマークした。MGCは24位。秋山清仁(愛知製鋼)は23位だったMGC以来、1年半ぶりのマラソンに挑む。
男子のレースは28年ロサンゼルス五輪代表選考会につながるMGCシリーズ(グレード3)に加盟。今年はペースメーカーが付き、中間点過ぎまで2時間9分以内のペースを刻む予定だ。
招待選手が不在の女子は、昨年の東京を2時間31分38秒で走った森田歩実(東京メトロ)を中心にした争いか。
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【大会アラカルト】
■高橋尚子さん、今年もゲストに
2000年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんが今年もスペシャルゲストとして参加する。スタート地点でランナーにエールを送り、コース途中でも応援した後、ゴール地点でランナーを迎える。
■「準エリート枠」を新設
21年10月1日以降の日本陸連公認大会で標準記録(男子2時間40分、女子3時間10分)を突破した記録証を提出すれば、実業団選手と同じ最前列の「Aブロック」からスタートできる。今大会は男女計162人が該当。
▽ペースランナーを増員
2時間50分、3時間0分、3時間15分、3時間30分、3時間45分、4時間0分、4時間15分のペースランナーをそれぞれ2人ずつ配置し、市民ランナーの目標達成を手助けする体制を充実させた。
■ペースランナーを増員
2時間50分、3時間0分、3時間15分、3時間30分、3時間45分、4時間0分、4時間15分のペースランナーをそれぞれ2人ずつ配置し、市民ランナーの目標達成を手助けする体制を充実させた。
■ウェルカムフェス、19日に開催
長野冬季五輪の表彰式会場だったセントラルスクゥエアでレース前日の19日、ダンスや音楽、舞踊などの歓迎パフォーマンスのほか、NHKのBS番組「ランスマ倶楽部」に出演している金哲彦さん、井上咲楽さん、大家志津香さんのトークショー、ゲストランナー・ペースメーカーの西谷綾子さん、ハマザキムガさん、嶋原清子さんのトークイベントがある。飲食店なども出店。引き続き同会場で午後5時から開会式を行う。
■前日受け付けは廃止に
前回まではレース前日の参加者受け付けでゼッケンや参加賞を渡していたが、今年から事前に送付する方式に変えた。前泊せず当日の長野入りも可能になり、参加者の利便性を高めた。
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■招待選手以外の主な実業団選手
【男子】
小森稜太(NTN) 2時間10分33秒
角出龍哉(愛知製鋼) 2時間11分29秒
辻村公佑(大阪ガス) 2時間14分53秒
池上秀志(ライオンズ)2時間18分52秒
今井隆生(SSAC) 2時間19分24秒
【女子】
森田歩実(東京メトロ)2時間31分38秒
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■男子・女子の歴代優勝者
【男子】 長野市スタートとなった第6回以降
第6回 モーゲス・タイエ(エチオピア) 2時間13分9秒
第7回 イサック・マチャリア(ケニア) 2時間10分59秒
第8回 ネファト・キニャンジュ(ケニア) 2時間11分18秒
第9回 ネファト・キニャンジュ(ケニア) 2時間13分31秒
第10回 ネファト・キニャンジュ(ケニア) 2時間14分17秒
第11回 イサック・マチャリア(ケニア) 2時間11分21秒
第12回 ニコラス・チェリモ(ケニア) 2時間10分24秒
第14回 フランシス・キビワット(ケニア) 2時間9分5秒
第15回 川内 優輝(埼玉県庁) 2時間14分27秒
第16回 セルゲイ・レビッド(ウクライナ) 2時間13分56秒
第17回 ヘンリー・チルチル(ケニア) 2時間11分39秒
第18回 ジャイラス・チャンチマ(ケニア) 2時間15分31秒
第19回 伊藤 太賀(スズキ浜松AC) 2時間14分39秒
第20回 アブデラ・ゴダナ(エチオピア) 2時間13分54秒
第21回 ジャクソン・キプロプ(ウガンダ) 2時間10分39秒
第24回 牛山 純一(CITYRUNNER) 2時間14分42秒
第25回 西 研人(大阪ガス) 2時間10分1秒
第26回 矢野 圭吾(Kao) 2時間15分53秒
(第13、22、23回は中止)
【女子】=長野市スタートとなった第6回以降
第6回 ファツマ・ロバ(エチオピア) 2時間28分5秒
第7回 アルビナ・イワノワ(ロシア) 2時間28分21秒
第8回 アルビナ・イワノワ(ロシア) 2時間28分52秒
第9回 アレブティナ・イワノワ(ロシア) 2時間27分48秒
第10回 アレブティナ・イワノワ(ロシア) 2時間26分38秒
第11回 イリーナ・ティモフェーエワ(ロシア) 2時間30分7秒
第12回 リサ・ウェイトマン(オーストラリア) 2時間28分48秒
第14回 ポーリーヌ・ワングイ(ケニア) 2時間34分22秒
第15回 ナターリア・プチコワ(ロシア) 2時間30分40秒
第16回 アリーナ・プロコペワ(ロシア) 2時間30分56秒
第17回 ベアトリス・ジェプケンボイ(ケニア) 2時間34分2秒
第18回 シャショ・インセルム(エチオピア) 2時間34分19秒
第19回 レイチャル・ジェムタイ・ムトガ(ケニア)2時間33分0秒
第20回 古瀬 麻美(京セラ) 2時間34分9秒
第21回 メスケレム・ヒュンデ(エチオピア) 2時間33分32秒
第24回 関野 茜(コモディイイダ) 2時間41分20秒
第25回 高野 温菜(PTC) 2時間42分44秒
第26回 川内 理江(大塚製薬) 2時間33分16秒
(第13、22、23回は中止)
(信濃毎日新聞)